扇澤 郁の PWCスイスリポート |
2001/06/09UpDate
6月4日、大会初日のシーメンタールは昨日の嵐から天候は一変して大会をやるには少し安定しすぎている、穏やかな晴天に恵まれました。
テイクオフには昨日降った雪が残り、うっすら雪景色の岩盤はコントラストのはっきりした、アルプス特有の景観を見せています。
シーメンタールは、東西に伸びる谷で、東にわりと大きな湖があり谷風は東から西に向かって吹き抜けます。テイクオフは、南斜面に位置し立山で言うならば、対岸の青少年の家からテイクオフする形となります。


雪のテイクオフとアルプスの景観
本日はちょっとしたアクシデントがありタスクはキャンセルとなりましたが、フリーフライトを行うことができ、初めてのエリアを少し調査することができました。
テイクオフの風は、サーマル活動が活発になると谷に引っ張られ、フォローになってしまいます。テイクオフでは、サーマルの出始めから、約1時間ぐらいしか向かい風が望めません。
ちょっと変則的なテイクオフサイトですが、東西に伸びる谷で、南に向かってテイクオフするところの風は、大概はこのようなコンディションです。
基本的には立山の対岸からテイクオフし、対岸を利用したアウトアンドリターンがメインのフライトコースで、コンディションが良くなれば、かなり険しい山を越えていくバリエーションルートが考えられます。
今日のコンディションは、一気に山稜をトップアウトできるサーマルがないために、サーマルトップがはっきりせず又、リーサイドであるが為にシンク帯が長く続きかなり荒れ気味の様相でした。トップアウトしてしまえばそうでもないのですが、稜線より低い位置では大辻山の水道管の上を常に飛んでいるような感じでした。
明日からも天気はよさそうです、レースの報告を楽しみにしていてください。
6月5日
6月5日、大会2日目。シーメンタールは期待に反して大気が安定しすぎていて、1500Mと2200Mに強い逆転層が停滞する、大変渋いコンディションとなりました。
タスクコミッティーには、昨日怪我をしたフランスのデビットに変わり、ハンスボリンガーが選ばれました。タスクを決めるにあたっては、成立させようとするタスクか、難しいテクニカルなタスクかでもめたみたいですが、夢と希望をもちつづける男ハンスボリンガーがコミッティーに入ったせいでしょう、非常に興味深いタスクとなりました。
タスクは、まずは東に5キロほど行ったところで一斉スタート。そのあと南方向に2つの尾根を越えに15キロ南下し、再びメインのシーメンタールに戻ってくる、45Km。
渋い中での戦いなのはわかっているものの、ゲートオープンと同時に、120人余りのパイロットがほぼ同時にテイクオフするのがPWCパイロットの性。しかしパイロットは全員しまったと思ったことでしょう、とにかく渋い。30分後のスタートに間に合ったのは30人ほど、わたしは2000mの岩盤をトップアウトするのに1時間以上費やしてしまいスタートしたのはほとんどビリ。結果よろしく、しり上がりに良くなったコンディションの良くなりかけでのスタートだったので、あとは苦労することなくゴールまでたどり着きました。
結果は21人ゴールした中で私が21位。しり上がりに良くなるコンディションをうまく乗り継いだものだけがゴールできた難しいタスクとなりました。急がば回れ。やっぱりパラの勝負は自然との駆け引きで決まるのです。
6月6日
今日は目覚める直前の雷で目がさめました。6月のアルプスは天気がめまぐるしく移り変わります。ギリシャから始まった今シーズンのPWCですが、行われたタスク4本中まともなレースを行えたのが、ギリシャの3本目だけでその他はPWCのタスクとしては相応しくないと思われる渋い中での戦いとなっています。地球温暖化の悪影響がPWCにも振りかかっているのでしょうか。とにかく今までは生き残りゲームをやっていた感じ。これから本当の戦いが繰り広げられることに期待しましょう。
我々アエロタクトチームの遠征隊は総勢7人。アルプスの少女ハイジが育ったような、谷あいの一軒家をベースに、まじかに迫った世界選手権大会出場のための調整をかねた共同生活を行い、長期戦のためのペース配分をすでに行い始めています。明日は天候も回復します。明日からの1本1本は、世界戦の前哨戦として厳しい責めを見せるつもりです。