2009年9月19日〜21日は、ナショナルリーグ第6戦「2009 立山らいちょうバレーカップ」。今年の目標として「地元で表彰台」を掲げてきた藤野にとっては特別な想いで臨む事になりました。
過去2年間の立山らいちょうバレーカップは5月に開催されたのですが、一昨年のナショナルリーグ、昨年のチャレンジリーグ共に天候不良により成立していません。今年はシルバーウィーク前半3日間を使った日程で、天気予報も晴れベースを告げていた事から、比較的楽観的な気持ちで当日を迎えることが出来ました。

今回参加した隊員はナショナルリーグと言うこともあって藤野のみ。ただし、他の隊員は大会スタッフとして重要な任務が与えられ、地元ハミングバードパラグライダークラブと共に強力に大会をバックアップしてくれることになっています。大会は選手の視点よりもスタッフや主催者などの視点からも得られる事が多いのです。各監視ポイントに就く隊員には地上と上空のコンディションのつながりや、選手の動きを客観的に見て欲しいと思います。また、ダミーフライトを行う隊員には、普段の飛び以上にエリアの状況を把握して飛んでもらいたいと思います。
また、となみ野からは北君が選手として参加しています。

曇りベースの空と北東風を際立たせた台風の影響もあり、立山エリアは低い雲底に覆われたままの状態で初日の朝を迎えることになりました。

 

初日の受付・・・(左)  開会式で関沢校長の挨拶・・・(右)
 
選手受付は7時から。その後は9時30分から本部前で開会式となりました。今日のフライトは難しそうですが、可能性にかけて雲が上がるまでウェイティングです。その間に選手ミーティングも行われました。

11時を過ぎる頃からじわじわと雲底が上がり始めました。テイクオフも見え隠れするタイミングで選手はテイクオフへ移動。初日の競技成立へ向けて大会が動き出しました。
 
左:ゴンドラは長蛇の列 右:いつもの風景
 
 
テイクオフに選手が揃う頃にはダミーも飛び始めます。しかし、相変わらず雲底は低く尾根線は使えそうもありません。そんな状況でもタスクは30Kmオーバー。
 
D32-B04(Start)-B27-B04-B27-B04-B27-A53-B04-B27-A53-B04-B13-A52(Goal)
 

B04をスタートし、B27(パラダイス食堂)とのアウトアンドリターンを3回こなし、極楽坂ランディング、B04、B27の三角パイロンを2周、最後に美女平のB13を回って山野ゴールの34.2Km。タスクの内容だけを見れば簡単そうですが、雲低は1100m。サーマルも間欠的で時間も13時を回っている状況ではとても簡単なタスクと言えるものではありません。

慌しく準備を進めてゲートオープンが13時40分。時間と共に選手が次々と飛び立って行きます。

 
左:間もなくです・・・ 右:タスクボード・・・
 
藤野はテイクオフポジションを前列のリフト側(吹流しの下)に取りました。10番目くらいに出られたのですが、五竜の悪夢再びと言うか、またまた翼端が吊ってしまいました。枝が引っかかって取れません。殆どの選手は金山から真っ直ぐに4番へ隊列を組んで直進して行きます。藤野はその列には加わらず、3番手前から河原方向に向かいリフトを探りながら4番を伺いますが、トラブルのせいで滑空比が悪くレースを続ける事が困難になりました。最後のあがきで対岸を探るも北風の被りが強く、安全に本宮LDへ降ろしました。

他の選手も4番からリターンするも上げられず、極楽坂LDや本宮にLD。そんな状況でも世界のオギーは淡々とタスクをこなし、ただ一人ダントツの18Kmを飛んで競技は成立。ミニマムの5Kmを超えたのは僅かに4名でした。

競技終了後は、立山らしく「焼肉、焼きそばパーティー」。選手のほとんどがエリア内の山野スポーツセンターに宿泊しているので、今回はビールもありました。たらふく飲んで食って・・・だったのではないでしょうか?

藤野は今大会中スタッフと一緒に「ロッジわがや」で宿泊です。この日はウェルサンピアでお風呂に浸かってから宿へ帰りました。
 
 
2日目の朝は陽射しもあり、対岸の大辻山頂も見える条件。雲低1300mは確保出来ると言う読みでした。8時受付ながら、選手は本部前に長蛇の列。そして、受付が終わるとすぐにゴンドラに乗ってテイクオフへ移動して行きます。藤野は本部で本日のタスクを扇澤氏と協議。北風の影響が大きいと判断し、今日は対岸を使わないタスク設定としました。
 
左:スタッフミーティング 右:ゴンドラからテイクオフ方向・・・
 
テイクオフでは既に機体が埋まっている状態。藤野は昨日の枝絡みが嫌だったので、今日は後から出る予定で準備をしていました。(結果的にこれが良くなかった)

時間経過と共に雲底が上がるものの予想よりも低い。テイクオフは北風の影響もあって寒い。ダミーが飛ぶも上がりは今ひとつ。今日のタスクは本部で決めたものをベースに修正。当初は瀬戸蔵山を使うことになっていましたが、やはり高度が取れないと言う可能性からエリア内を周回する三角パイロンを基本として、美女平、西側のパイロンを行き来する40Km台のエラップスとなりました。
 
D32-B04(Start)-D31-B02-B04-D31-B01-B04-B13-B04-B13-B03-A51(Goal)
 
タスク距離は41.6Km。ゲートオープンは10時50分。ダミーを務めた西尾隊員も本部からの指示で4番へ行き高い高度でリターンして来ます。今日は後半になればなるほど条件が安定してくる・・・ハズだったのですが。

ゲートオープンと同時に先頭に広げる選手が出て行きますが、今日は昨日のような慌しさがありません。時間が早いこともあり、選手全体が自分のペースで動いているようです。藤野も北君と一緒に最後尾に機体を広げてのんびりムードです。コンディションは予想に反して好転せず、雲底も上がるどころか下がる気配すらあります。空も日射が少なくなり上がりも散発的。吸上げだけが頼り・・・と言った状況でしょうか。
 

2日目のテイクオフにて・・・
 
藤野が出たのはトップが前半戦の沖だしをクリアしそうな勢いだった頃。金山では吸上げ混じりのリフトがあり、上げるのにそれ程苦労することはなかったのですが、安易にスタートを切る為4番へ向かったツケが回り、3番近辺の低い場所でのた打ち回ることになってしまいました。何とか上げ直したものの、時間を気にしてリスタート。今度はしっかり雲底に付けて4番、D31(展望台)と直線でこなし、2番へはパラダイス食堂付近で少し高度を稼いでから向かいました。戻りはサーマル山後方で回すグループの上に被り、少しリフトをもらってから山に戻ってインベタで金山へ戻る事が出来ました。2回目の4番も高くこなすことが出来ましたが、1番のゴンドラ山麓駅が鬼門となりました。高度は1200mが精一杯。ゴンドラ架線上を1番に向かい、シリンダーをカット後にはサーマル山方向へ一目散に山へ戻るコースを取りましたが、金山の遥か下に着くことしか出来ず、粘ったものの敢え無く極楽坂にランディングとなってしまいました。
 
 
そんな状況においても先行する集団は美女平から常願寺川上空を通って果敢にも4番を伺います。そのまま滑空比で撃沈する選手も多い中で、空の半分以上を雲に覆われた状況でも対岸付近でサーマルをヒットし、十分な高度で4番を攻略し2回目の美女平へ向かう選手も見受けられます。しかし、空はあまりに無情で陽射しも13時を過ぎる頃にはエリアからその殆どを消し去り、最後の選手も本宮付近の河原にランディングして競技が終了しました。

予想以上に早くオーバーキャストになってしまい、結局ゴール者は出ませんでした。なかなか思ったようなコンディションになってくれません。

それよりも、今日は反省点が多い。やはり遅く出るのはあまり良いことがない。勿論、自分の気象条件の読みで後半でも問題ないと判断した訳ですから、その点については自分でも納得しているのですが、後に広げても出るタイミングがなかった訳ではないのに、ゆっくり傍観者となってしまったことが競技に対する集中力を欠いていた現れなのだろうと思います。明日は自分らしさを出せるように一番前に陣取って飛ぶつもりです。
 
 
3日目は強い南の吹き降ろしの朝。それでも北よりの風が入ってくることが予想できるためウェイティングです。しかし、風が相当強いためにゴンドラが運転を中止している状況。11時くらいには風が変わるだろうと楽観的に構えて本部でゆっくり時間を過ごしました。

コンディション的には今日が最高。雲底は軽く1600mを超えています。50Kmで行くか、もう少し小振りにするかを扇澤氏と協議。基本50Kmで状況に応じて短くすることになりました。

待つこと1時間あまり。10時過ぎから風も徐々に落ち着き始め、テイクオフの風も無風時折西風。ゴンドラが運転を始め、選手の大移動が始まりました。今日は予定通り一番前に機体をセット。早いテイクオフで先行する作戦です。

時間的な要素も検討し、結局タスクは昨日と全く同じものを採用しました。リベンジと言うわけです。ゲートオープンは12時15分。スタート時間は12時25分。ゲートが開くと3番手でテイクオフ。金山でサーマルをヒットし一気に1800mまで上昇。周囲の機体に注意を払いながら、時間もスタート3分前になったことから4番へ向けて移動を開始。藤野の動きを見て他機が追随して1本の線が4番に向かって出来上がりました。

3番を越えた辺りから機体が右に押され始めます。ウェイトシフトでは針路を維持しきれないのでやむなくブレークで修正。予定よりも1分以上遅れてシリンダーをカットし、稜線方向へ移動を開始しますが上空は南風が強めでゆっくり移動します。アクセルを維持しながら金山、展望台と移動してサーマルで再び上昇。この頃既に西側の稜線付近では南風が相当入っており、後続の機体はホバリング状態。自主キャンセルする選手も居たとのこと。藤野は1800mの高度で2番のシリンダーをカットしたもののこの時点でタスクキャンセル。安全に降ろす事がタスクとなりました。

とは言え、余裕の高度を持って山野上空に移動して強めの風の中を無事ランディング。3日間の大会は終わりました。
 

3日目の空中から・・・
 
 
とは言え、立山らいちょうバレーカップは3日間とも飛ぶことが出来、タスクも2本成立することが出来ました。立山らしいコンディションとはいきませんでしたが、それなりにエリアを楽しんでいただけたのではないかと思います。

今回の大会に限りませんが、気象データやコンディションの読みはやはり難しいですね。目標とした「地元で表彰台」は今回達成出来なかったわけですが、次回以降で達成出来るように訓練を続けたいと思います。

また、今回は地元開催と言うことで、クラブや我が隊隊員のみなさんが力強くサポートしていただきました。ありがとうございます。今後もご協力をお願いいたします。

そして次回は獅子吼チャレンジリーグです。天気周りも良い感じです。多くの隊員も参戦します。

次も頑張ろう!!
 
 
Back Diary