Team-Cの「大会日記-2007」 −PNL Paraglider in Tonamino編-

2007/10/09UpDate


 昨年は台風襲来で全滅してしまったとなみ野の大会。今年は日程を10月上旬に移してのリベンジ戦。日頃からよく飛びに行っているエリアだし、オーガナイズは則島さんだし、今年こそ良いコンディションに恵まれて欲しいと思っていたのはPikaichiだけではないでしょう。さて、大会はどうなったのでしょうか・・・?


予報とは裏腹に・・・

 10月6日〜8日の3連休は、Pikaichiの地元富山県西南部に位置する南砺市のエリア、となみ野でJNL第7戦である「2007 Paraglider in Tonamino」が開催されます。冒頭にも書きましたが、昨年は台風の襲来で全く飛ぶことも出来ずに終わってしまったので、「今年こそ!!」と言う強い思いが大会を開催してくれた主催者やスタッフのみなさんから伝わって来ました。そんなPikaichiも大会では選手兼スタッフ(副競技委員長)と言う立場だったので、準備段階から大会開催へ向けて微力ながらお手伝いさせていただいたのでした。そんな訳で、大会前日から現地入りしたのですが、幸いにも大会初日の天気予報は晴れベース。風は北東ですが、競技が出来そうな予報を眺めて成立へ向けて手ごたえを感じていたのでした。

 今回は地元と言うことで、となみ野の則さんはスタッフ専任(競技委員長)、Pikaichiは選手兼スタッフ、地元の山本くん、北くんも選手兼スタッフ、立山からは今年積極的にナショナルリーグに参戦している島倉くん、チームメイトの早風くんがエントリー。他にも長野の呉さんと小名木さん、愛知のちゃいさんや獅子吼の府玻さん、さっちゃん、朝ちゃんなどお馴染みの面々が勢揃いでした。

雲の多い空(左)  受付風景(右)

 朝6時に大会本部へ出勤?し、6時0分からはスタッフミーティング。そして7時30分からは選手受付が開始されました。今回の選手は総勢81名。予報では快晴に近いはずだったのに、何故か空は高層雲が覆い雲の足も速い。山からの吹き降ろしである南風がクラブハウスを駆け抜けて行く中、8時過ぎから選手はテイクオフへ移動を開始しました。
 テイクオフに到着しても吹流しは強めのフォローを示し気温も低く寒い。多くの選手から「これって大丈夫なの?」って聞かれるけど、「ここは午後からのエリアだから大丈夫だよ」としか答えようがない状況が長く続きました。

となみ野のテイクオフ(左) フォローを示す吹流し(右)

 開会式が9時30分からテイクオフで行われましたが、空の状況はますます悪化する一方です。どうやら小さな気圧の谷が上空を通過するらしく、場合によっては雨もあるとの嫌な話が飛び込んできました。今日成立しなければ明日以降は可能性がぐっと低くなるため、則さんをはじめとするスタッフのみなさんは気が気ではなかったでしょうね。

大会実行委員長の小塚さん(左) 競技委員長の則島さん(右)

 しばらくウェイティングとなり状況を見守りながら、今大会のテクニカルデリゲートである扇澤さん、タスクコミッティーのPikaichi、山本くん、競技委員長の則さんとで考えられるタスクを再検討。そうこうするうちにみんなの祈りが通じたのか?、気圧の谷が通過したと思われた直後から天候は急速に回復し、平野部にも晴天域が現れました。とりあえずはタスクを30Km程度のものと40Km程度の2つに絞って仮発表。レースコンディションを待つ形になりました。

テイクオフから見る山居村(左) 選手たち(右)

北東風のタスク・・・

 こことなみ野のエリアは稜線が基本的に北東〜南西に向かって伸びており、所々に北〜北西に伸びる支尾根があることから、北東の風では一部空域がローター域になってしまいます。さらに、稜線途中に2本の高圧線が斜面を尾根から平野に向かって横切っており、また山の裾野には稜線に沿って同じく高圧線が走っているため、安全面においては相当な配慮が必要でした。競技委員長の則さんからはブリーフィングにおいてその辺りの注意事項が幾度となく選手に説明され、選手もそのことについては十分理解してくれたようでした。

 11時過ぎには空も青空に変わってレースが出来るか否かはコンディション次第になりました。大方の予想としては雲低が1300m程度、風は北東でそれ程強くならないだろうと言う読みで、エリア内を2往復させて対岸に見えるイオックス方面に設定された才川七ゴールを目指す31.9Kmのタスクを設定しました。

D93-B05(Start)-B01-A85-B01-B05-A86(Goal)

 今年のナショナルリーグは「プール制」とゴールレースがセットになった感じでしたが、今回は基本的にフリーテイクオフ方式を採用、レース方式も「エラップスレース」となりました。ゲートオープン時間は12時30分。デパーチャーオープン時間をゲートオープン15分後に設定しての競技開始となりました。

タスクブリーフィング(左) タスクボード(右)

勝負の行方・・・

 Pikaichiはこの大会で今年のナショナルリーグが終了。とりあえず高得点を目指すには勝負に出るしかありません。このエリアを知る選手もそれ程多くない今回は、ある意味有利と言える条件で飛べる唯一の日となるので、いかにエリアの特色を生かして飛ぶことが出来るかが課題でした。ゲートオープン後しばらくは誰も出ようとしません。やはりエリアを知らない選手が多いためか、みな様子見状態。そんな中を吉川選手が果敢にトップでテイクオフし、テイクオフ横で弱いサーマルを拾ってステイしだした頃から次々と選手がゲートイン。テイクオフスタッフを手伝う立山のパイロットやスクール生のみなさんが機体を広げたりラインチェックをする中、Pikaichiは12時50分頃にテイクオフしました。このエリアはテイクオフして右に向かい、縄が池付近のポイント(通称馬の背)を利用するのが定石ですが、さらに慣れた選手にとってはそのまま高清水に渡り第1高圧付近で上げるか、まだ奥にある第2高圧付近で上げるのが飛び方となっていますが、それにはエリアを十分に知っていなければ出来ないリスクが伴います。案の定、選手の殆どは最初に吉川さんが上げたテイクオフ付近か馬の背付近で弱いサーマルに足止めを食らっている状況で、Pikaichiはそれらをパスして一気に第2高圧まで斜面を突き進みお目当てのサーマルにヒットすることが出来たのでした。

高く上げる選手たち(左) スタート後にB01を目指す(右)

 上げて見ると雲低高度は優に1600mを超えていて、目測でも1800mはありそうな感じでした。一瞬「タスクが小さかったか?」と後悔しましたが後の祭りです。とりあえず1600mまで上げてスタートであるB05を13時17分頃に取ってから牧場のある通称前山展望台(B01)を山周りで攻略。高い高度の選手はダイレクトにB01へ向かっています。次のA85は山から少し離れたサブラン。沖のパイロンなので多少は高度を保ってB05付近で上げてから取りに行きましたが、やはり北東の被りの影響かシンクがきつく、シリンダーに入ってリターンする頃には高度1000mを割ってしまいました。第2高圧付近に戻って弱いリフトを拾いながら高清水の斜面まで戻りましたが、ここで致命的なミスを犯してしまいました。

大スタック・・・そして

 高清水でろくに上げもせず、馬の背に戻ったPikaichiはステイするのがやっとの空域で四苦八苦。そのうちにB01へ決死の突撃を慣行し、前山反射板付近のサーマルでなんとかテイクオフレベルまで上げ直して最終パイロンであるB05へ向かうべく牧場を横断して高清水へ再度突っ込むと、ようやく上がるサーマルにヒットして稜線レベルまで高度を回復。B05を取った後で最後のサーマルで何とか1400mまで上げる事に成功し、遥か彼方に見える対岸のゴールへファイナルグライドを切ることが出来たのでした。

となみ野テイクオフを上空から(左) 縄が池と馬の背を上空から(右)

 通常利用している理休ランディングを越えて、城端の町も遥か高いところからパスした景色は最高でした。レース中ではありましたが、この景色には正直感動しましたね。右から北東の風が強く機体を押し込もうとしていましたが、軽く偏流をかけながらもアクセルを目一杯踏み込んで福光インターチェンジを右手に見ながらゴールを目指しました。ようやくゴールの位置を目視したPikaichiは、軽くゴールに向けてコースを修正し、かなりの高度を余してシリンダーに入ることが出来ました。

ゴール方向を見る(左) ファイナルグライド(右)

福光インターチェンジ(左) 才川七ゴール上空(右)

ゴール上空からエリアを望む(左) 回収バスの中で(右)

 ゴールには20名くらいの選手が既に機体を畳んだり談笑したりしていました。Pikaichiはゴールした喜びは勿論ですが、とにかく飛べて良かった、成立して良かったと言う思いで一杯になりました。

 それから、やっぱりゴールから帰るバスの中は良いもんです。充実感に浸れる時間って言うのかな。

良いタスクだったかな・・・

 本部に帰着すると、既に帰ってきた選手が地元の婦人会の方々が振舞ってくれた「トン汁」を頂いていました。結局ゴール者は23名。Pikaichiは21位。勝負に出た割にはイマイチな出来でしたが、まぁこれが実力と言うことで納得するしかないでしょう。トップの正ちゃんも1時間ちょっとはかかってるんで、タスクとしては良い設定だったと思います。サーマルも思ったより長続きしなかったようで、後半北東風も強く吹き込んだことも影響してか、後半にテイクオフした選手は苦労したようです。

トン汁は美味い・・・

地元の山本くん(左) トン汁は美味い・・・by Pikaichi(右)

 Pikaichiがトン汁を頂いているとテイクオフサポートしてくれた立山のみなさんが下山して来ました。御礼を言って記念撮影。ホントにお疲れ様でした。

立山チームその1(左) 立山チームその2(右)

2日目はフォロー・・・

 2日目は朝から天気は申し分なし・・・されど風向きはフォロー。いろいろ検討した結果、競技はキャンセルとなりました。その後、選手ミーティングが行われ、今後のリーグの方向性や理想などを説明してパーティーまで自由時間となりました。

パーティーです・・・

 パーティーはイオックスアローザスキー場にある会場。焼肉で盛り上がり、OGIのX-Alps報告会もあってみんなで楽しい時間を過ごしました。

パーティーで・・・

3日目は雨・・・

 3日目は予報どおり寒冷前線が通過するので雨。9時から閉会式が行われ、競技委員長の則島さんが丹精込めて作ったコシヒカリが上位3名の選手に賞品として贈られました。選手のみなさん、今年は1日だけでしたが飛べて良かったと思います。また機会があればとなみ野にいらしてくださいね。そして、実行委員長の小塚さん、競技委員長と言いながらあらゆることを仕切ってきた則島さん、裏方で頑張ってくれた中野さん、地元スタッフのみなさん、立山や獅子吼などから応援に来てくれたみなさん、本当にお疲れ様でした。Pikaichiはこの大会で選手として飛べたことを本当に嬉しく思います。また次の大会に期待したいですね。

 次はチャレンジリーグの白根です。そして今月末の獅子吼。この2戦でPikaichiの今シーズンは終了します。チーム戦もあるので、とにかく楽しく飛べるように頑張ってきます。


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