Team-Cの「大会日記-2006」 −JPA 白鷹オープンカップ編ー

2006/09/04UpDate


 宇都宮に続き白鷹オープンカップに参加した西尾くんから、またまたリポートが届きました・・・。


 9月初旬2、3日に行われた白鷹オープンカップに参加してきました。
一昨年まで10月開催でしたが、立て続けの不成立という事からこの時期に移り事前の天気予報は曇り後晴れ。前線も南下しコンディションは整いつつありました。

Report:T.Nishio


夜は冷えますね

 今回はとなみ野の新進気鋭のホープ、北君と道中を共にし、チーム戦でも「立山Team-C」としてエントリー。自宅まで迎えに行き、金曜日20時に立山ICから北陸道を北進、白鷹エリアに向け出発しました。昨年も通った道という事もあり、さして時間がかかることもなく快調に走り続け、0時45分にはクラブハウス前に到着したのでした。
 
 途中の掲示板によると外気温14.5度。翌朝の予想は30度近かったのでわくわくしながら各々のシュラフで夜を明かしたのでした。 

快晴?

 さすがに明け方は冷え込み5時30分には目を覚ましました。この時は青天域も広がり、無風。今日は楽々成立するな、と朝の準備をすすめました。

 昨年は強風で飛べなかったので確認もしませんでしたが、クラブハウスとランディングは微妙に離れていたので車で5分ほど移動し、高度処理の場所等々をみておきました。

 白鷹町営スキーセンター内の食堂にて朝の食事を済ませ、受付。テイクオフへ向かいました。

とりあえず朝です(左) バイキング形式(右)

テイクオフへ

 テイクオフへはクラブハウスから完全舗装された道を穏やかに車で上がる事10分。電波塔に到着です。

 白鷹エリアのテイクオフは三方向あり、メインTO1(西南西向き)、TO2(北北北西向き)、TO3(北北東向き)。大体同じレベルで海抜953m。ランデイングは484mでTO2からは見下ろして確認できる・・・はずでしたが、このときパイロン確認等をするまでもなく雲海が広がっていたのでした。

TO1から電波塔(左) パイロンって?(右)

 上空は上空で南東から雲が湧き上がり、急速に張り出してきているように見えます。が、風は高層西でテイクオフから西側には広がらず、平野部は日射がさす状況でした。

もくもく雲

開会式・ブリーフィング・タスク発表

 10時から開会式が行われ大会実行委員長、とんとんとんび植木校長の挨拶他が進んでいきます。この頃から強い日射で平野部の雲は掻き消え、またダミーフライトを行ってた地元の菅原さんも1500m程度まであげ、当初のテイクオフ前でのステイと異なりエリアを南北に移動しだしました。

 10時40分、ブリーフィングの後いよいよタスクが発表されました。

D61-B16−B04−D61−B03−B04−D61−B34−B04−B10−A41 18.5Km

が、このタスクの上には「仮」と書き込んであったのでした。

植木実行委員長挨拶(左) 雲低上昇中(右)

 タスクコミッターは長島さん、深瀬さん、原田さん。「まだ南北の風がはっきりしないから。」との事でした。

本タスク発表

 2回目のブリーフィングの時だったでしょうか?気象予報士の方から今日の白鷹エリアの予報が発表されました。結論だけ書くと「雲低予想2000m」。そして本タスクが発表されました。

D61-A41−B16−B14−B03−B12−B10−D61−B08−A41 23.0Km

※最初のA41はデパーチャー(12時35分オープン)

 仮タスクよりもパイロンを南北に使った、結果として距離も伸びたタスクです。ですが雲低、ダミー自体の高度には変化はありませんでした。

「午後にかけて条件がよくなる事を予想しました、賭けに乗ってください。」

 いよいよ12時20分、ウインドウオープン。ダミーの方に変化はないものの(2時間以上飛びつづけてますよ)南からの発達した雲に電波塔周辺の日射は遮られ、テイクオフの前方の小山が照り輝いています。
 誰も積極的にゲートに入ろうとしない中、長島さんがゲートインし、テイクオフ。前方へと進んでいきます、進んでいきます、進んでいきます、廻しだしました。その後、それを見た選手もテイクオフしだし、私は10番目ぐらいにテイクオフ。そしてソアリング?デパーチャーオープンの時間には雲に吸い上げられ1300mの高度に達しました。上空には雲低にまでつけた他の選手がいるものの時折かすんで見えます。

レーススタート

 デパーチャ―オープンを迎えました。選手はこの時点で20機位か?高度に関係なくA41へ殺到していきます。移動をしても沈下もさほどすることなく私もスタートし、パイロンをまわります。B03をとった後テイクオフ上空D61に戻ろうとしたときは数こそは少ないものの激しい、「そのバンク角は何?」というようなガーグルが形成されていました。上空には黒く発達した雲。このとき私の上空10m程度の高さにTYCOON高津選手がいました。同じタイミングでまわっていたので当然、そのガーグルの下部に付けたつもりでした。
 このとき風が東向きに変わったと無線が入っていたようです。激しく吸い上げられると思っていたわりには私のZOOMは反応が薄く、上空の機体はすでに次のパイロンをとりに走ったのかいなくなっていました。このとき高度1200m。このまま見切りをつけB12にいこうか、アクセルを踏み込みましたが、いや、これでは今までと同じだ、前回宇都宮での教訓を生かしステイするのに徹し、状況の回復を待とうと判断しました。一度B12へ向けた機首を吸上げポイントD61上空に戻し当たりを待ちます、待ちます、当たらない〜。ランディングしました。
 このとき他の選手はパイロンに突っ込んでアウトラン、日射を求めてパイロンとは無縁の西(風下)でソアリングを続ける機体、ベストポジションをとってランディングに分かれたようです。

 ランディングしてパックを終えた頃には上空を飛ぶ機体は全くいなくなっていました。

リフライト

 リフライトをしにテイクオフに着いたのは14時00分。すでにテイクオフゲートには選手が並んでいます。

「あれ?北君どうしたの?」

そこにはTATOO北君がいました。TO1は無常のフォロー。
どうやら半数程度の選手はまだテイクオフをしていない模様でした。ウインドクローズは15時20分。上空は対流を行っていないのっぺりとした雲に覆われるも、序々に西側(TO1前方)から雲が空けてきます。中にはアゲンストが入っているTO3から出る選手もいましたが、日射が全くない状況では上がりようもなくLDへ。
 やがてかろうじてフォローも収まり柔らかな日差しが訪れたのは15時過ぎ。フライトログがまったく無いと0kmなので選手はあきらめつつTO1からテイクオフ。回り込んでの南面を目指すも何もなく次々ランディングを目指します。

待ちましょう(左) 穏やかな日差しの中・・・(右)

 私や1本目のフライトをした選手たちはGPSの電源を入れることなく大会としてはクローズされた15時30分過ぎ、下山フライトをしたのでした。

初日成立・パーティ

 帰着申告、データ提出を終え風呂へ。大会はどうなったのかは知りませんでしたが成立したようです。このへんはルールブックに任せます。パーティー兼宿泊場の東根公民館に結果が張り出されました。ゴールした選手はいなくて初日トップの杉下選手でB10途中まで進んだくらいか?もう少しコンディションが続けばゴールしていた事でしょう。
 昨年は強風で飛ぶことなくこのパーティーを迎えた私は順位はともかくとりあえず2本飛べてよかったと思い、他の選手と歓談したのでした。
 この冒頭では明日はウインドオープンを早めに設定する事が伝えられました。天気予報は晴れ、明日こそゴールだ!!

- 1日目終了・・・ -

2日目

 6時、東根公民館で朝を迎えました。スキーセンターの食堂は7時半から。する事もないのでGPSのスイッチを入れ、昨日と同様のパイロンが使われる事を予想しその周辺地形を見に行きました。アウトラン対策です。テイクオフから南側のパイロンを見ていないよりマシ、程度にみて朝食へ。
 その後受付を済まし、テイクオフへと向かいました。

フォロー?

 テイクオフには北君と2人して第一便であがりました。早めにテイクオフする。これが昨日の教訓です。私はTO1のゲートに設定された4列の内の2番目、北君は別の列の5番目くらいにポジションを取りました。

「今日はやるぞ!!」

 しかしながらこの日は北東風。一回目のブリーフィングでもタスクは北パイロン中心で組むので南には入り込まないようにと釘を刺されました。使用するテイクオフもTO3中心。TO1に作られた選手の列は早々TO3へ移動し、出鼻をくじかれた私は「今日は真ん中位に出ようかな?」と列には就きませんでした。TO3にはバッチリアゲンストが入っていた模様です。

タスク発表(2日目)

D61-B03-B14-A41-B14-D61-B34-D61-B34-A41 14.4Km

※最初のA41はデパーチャー(11時45分オープン)

 2日目もいわゆるエアスタート。ですが昨日とは異なりダミーも上げてくれません。

「ウインドオープンを長く設定しました。選手の皆さん頑張ってください。」

テイクオフも選手の判断でTO2も使っていいようです。やれやれどうすっかな〜と思っているとTO2にC2クラス初日トップZoom中村(TAK)さんがキャノピーセットをしています。そうか、やっぱいくのか。
 心を入れ替えた私はTO2の列に加わりました。ウインドオープンが近づきます。TO2の風は東(右側)からのサイド。カウントダウンが始まりオープン同時に選手が飛び出しました。
 が、しかーし、風も安定せず下方の林の中に姿を消しました。Zoom中村氏やTO3から出た選手もテイクオフしたもののサーマルはなく沈んでいきます。西尾も一度立ち上げ損ないましたがTO2では譲り合いの精神の中誰も広げようとしないので暫く後にはまた広げることが出来ました。TO2で7番目くらいか?
今度はサイドの風に対応しテイクオフ。同時に右側後方TO3からも選手が出てきました。TYCOON高津選手です。

タイミング

 西尾からみて右側には配電線が走っていましたが、それを利用しようとは思う間もなく、前方の山に取り付くことになりました。散発ながら弱いサーマルがあり、何とかステイしようと試みましたが、TYCOONはステイしているのに対し微妙なポジションの問題からなのか私はランディングへ。先にTO3から出ていたBoomerang菅原選手もほば同時に降りてきました。が、その後からは降りてくる機体は見られません。
 この頃から状況は一変し上空に雲が湧き、機体も遥か上空に上がっていくのがリフライトの送迎車からも確認できました。
後からの話だとTatoo北君も西尾の出た暫くの後テイクオフし、このガーグルの中に居たそうです。

リフライト(2日目)

 最初の方にでた選手は全員リフライト。僅かな時間差、テイクオフポイントの選択から大きな差がつきました。風向きはまたもや変わり残った選手、リフライト選手はTO2に集まっています。これでは出るのに時間がかかる。登ってくるときにはあった雲、それに伴ったガーグルはこの時は既に無くなっていました。ゴール者は出たのだろうか?今の段階でサーマルは全く無くなったのだろうか?
 Boomerang菅原選手とZoom西尾はTO3には誰もいなかったので人員に余裕のあるテイクオフスタッフにTO3から出る事を伝えテイクオフ。TO2からでは使いにくい配電線を今度は使う予定です。最初は何もありませんでしたが緩く旋回し東風に対峙すると弱くリフト。やがてはっきりしたサーマルが感じとられ、他の選手も下方に集まってきました。私の2日目のレースが始まりました。順調にパイロンのD61まで回った時、またもや状況が変わってきました。それまで使ってきた北東面はシンク帯と化しました。このとき高度は1200m。一回目のB34を目指すべきか?戻せるわけがないのだが・・・。昨日に続いて今日も判断の時が来ました。
 状況はまた回復する、そう信じた私は電波塔をトリガーとしたサーマルが再度発生する事を信じというか願ってそのまま高度キープを目標にしました。同じ高度だった菅原選手はB34へ。Sigma6安藤選手と共にカスカスのTO1の南側斜面のリッジで何回か廻していました。やがて2人とも高度を落としランディング。私は失意の中ランディングでZoom中村選手を見つけ「B34いけましたか?」と声をかけると、「行きました。ゴールしましたよ。」と喜びの声。ああ、また離された。

 気落ちをしたものの再びリフライト便へ。この時は上空に機体は全くなくなっていました。14時15分。テイクオフ前の駐車場には着いたもののそのままパラザックが並べてあります。('◇'*)エェッ!?
TO1、TO3に風はなく、TO2にハーネスを着けた選手、ただ眺めている選手がいました。TO2の風もほとんどなく、というよりフォロー。その中にTatoo北君がいて1本目でパイロンのA41まで進んだとの事でした。
 そんな中無風と思われる状態時に果敢な選手がテイクオフを試みるも林の中に姿を消していきます。その後TO2のクローズが告げられました。事実上のウインドウクローズです。やがて正式にウインドウクローズを迎えてから風の入りだしたTO3から下山フライトをする者、私は回収された選手のライン解きを手伝った後車で下山しました。無線ではランディングの吹き降ろしの風の中、各選手に激しく注意が呼びかけられており、既にフライトからは心が離れていたのでした。

エンディング・夏の終わり

2日目のゴール者は6名。総合でC1はTyconn高津選手(1本目でそのままゴールしていた模様)、C2Zoom中村選手(リフライト)、C3Vega東條選手(リフライト)が優勝でした。

真中から右へ C2優勝中村選手、同2位中西選手、C3優勝東條選手

 2日目は状況が変わる中、2回のコンディションでゴール者を出していました。その2回ともに私は絡んでいながらゴールできず・・・。またC2の表彰台にも足が届きませんでした。0.2Km、5ポイント差。
 ポイント狙いの飛びに切り替えていたら届いていたのか・・・と思いつつ、やっぱゴールだよな、と会話を交え(心の中ではそうでもないなと思いつつ)芋煮会ならぬ団子汁をすするのでした。(これが文の流れに反して美味かった。)Zoom中村選手は2回目の最後のタイミングで1500mまで上げてゴールをきったそうです。
チーム戦はまたもや惨敗でした。

 こうして熱くなるはずだった白鷹も終え、秋の進む富山への帰路に着いたのでした。

手前TO1、左がTO2(左) ランディング(右)


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